Rockyシリーズの謎

3月 14, 200711:22 pm | カテゴリー: Movie | コメントをどうぞ

 シリーズ6作目、最後のRockyを観てからというもの、ずっとこの映画について考えていた。過去の5作については運良くテレビで何度も見る機会があり(古めの映画をCM無しでずっと放映する局があるのだ)、ちょうどいい復習になった。
 
 ボクシング映画としては矛盾だらけのシリーズだが、映画の出来を考えるとやはり最初のRockyが断トツに優れていると思う。ドキュメンタリータッチというか、リアル感が圧倒的に違うのだ。

 すでに30年も前の作品なのに、なぜこんなにもリアルなのだろう?フィルムが高感度ではなかったから、それがかえってリアリティを生んだのかもしれない…などと思っていた。これはそれこそ何十年にも渡る疑問だった。
 
 それがつい最近、明らかになったのだ。
疑問を解く鍵はHollywood映画の歴史にある…

 映画を撮影するフィルムは35mmのカメラを使うが、このカメラはとても大きくてクレーンに乗せたり何かに据えてレールの上を走らせたりしないと撮影出来なかった。この頃のHollywoodと言えば金をかけてセットを作り、まったくの別世界を撮影するという作品が多かった。ま、それはそれでイイ時代であったし、その嘘っぽさがかえってHollywoodのブランドイメージになったところもある。

 その後、16mmというフィルムが作られるようになり、カメラは小型化されて手持ちが可能になった。そこに飛びついたのは戦場カメラマン。彼らが撮影した戦争の現場は今までに見た事も無かった映像を作り出した。35mmから16mmとフィルム自体のサイズが半分になったせいで粒状性は悪くなったが、それがかえってリアリティを生み出した。リアルな映像を求める映像作家たちはその16mmを映画の世界へ持ち込んだ。
 
 そして次に開発されたのがステディカムというカメラだった。
このカメラはそれまで手持ち撮影が不可能だった35mmカメラを手持ちが出来るようにした画期的な物で、どこかに据えておいてパン…そんな映像しか撮れなかった映画界を変えた。そのカメラを使って作ったのが、なんと最初のRockyだったのである。

 もっとも撮影段階でそんなリアリティを追及した訳ではなく、単純に金がなかっただけで、金が無いから少人数で撮影するためにこのステディカムを使ったに過ぎないのだが…セットなど作る予算も無いから全編ロケ。本物のアパートを使うなど、すべてある物を使っただけだ。しかし結果的にはそれが大当たり。

 もちろん全部手持ちで撮影した訳ではないだろう。しかし人の目線が基本になっているのは間違いないし、写真を撮った事があればイメージしやすいと思うが、300mmで引いた絵と35mmで寄った絵には絶対的な差があるようにカメラが自由に動けるようになると映ったモノの空気感が違ってくるものだ。

 この話しを聞いた時、私は思わず膝を叩いた。なるほど!そうか、そうだったのかと…最初のRockyがヒットした理由はいろいろあるだろうが、観客は気付かないうちにこの映画の持つリアリティを感じ取っていたのではないかと思う、私と同じように。
 
 ちなみに、このステディカムの話しをしたのは映画評論家の町山智弘氏。かなり面白く、すげぇ映画評論家だ。

ベイエリア在住 町山智浩アメリカ日記
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/

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